【~ Marcel Lapierre / マルセル・ラピエール訪問訪問記:2025年7月9日水曜日午後~】
フランス:ボジョレー地域 モルゴン村
レミー・デュフェイトルとの昼食を終え、再びモルゴン村へ戻り、「マルセル・ラピエール」を訪問した。このワイナリーは、自然派ワインの始祖的存在でありながら、現在も高い人気を誇る。その佇まいは凛としており、まるで日本の国宝建築である寺院を訪れたときに感じるようなオーラを放っている。例のごとく、AIのGrokにこのワイナリーについて尋ねてみた。
自然派ワインの先駆者
マルセル・ラピエールは、化学肥料や農薬を使用せず、有機栽培(ビオロジック)や自然酵母を用いたワイン造りを実践し、自然派ワインの普及に大きく貢献した。彼の哲学は、テロワール(土地の個性)を最大限に表現することに重点を置き、添加物を極力避けたピュアなワイン造りを追求した。
ボジョレーの革新者:ボジョレーは一般的に軽やかで早飲み用のワイン(特にボジョレー・ヌーヴォー)として知られているが、ラピエールのワインは繊細かつ濃密で、熟成によってさらに魅力が増す高品質なものとして評価されている。ガメイ種のブドウから作られ、クリーンでピュアな果実味が特徴だ。
経歴と影響:ラピエール家は3世代にわたりモルゴンでワイン造りを行っており、マルセルは伝統と革新を融合させた。彼の影響を受けた生産者には、甥のフィリップ・パカレ(ブルゴーニュの著名な醸造家)などがいる。また、彼の師であるジュール・ショヴェの哲学もそのワイン造りに影響を与えた。
逝去と遺産:マルセル・ラピエールは2010年秋に亡くなったが、その死は世界中のワイン愛好家に衝撃を与え、多くの人が彼の葬儀に参列した。
代表的なワイン:代表作には「モルゴン」や「レザン・ゴーロワ」などがあり、特にモルゴンはエレガントでバランスの取れた味わいが高く評価されている。
ワイナリーでは、マルセル・ラピエールの娘であるカミーユ・ラピエールさんが迎えてくれた。現在は、カミーユさんと妹のアンさんが醸造や栽培を主に担当している。
挨拶を済ませ、早速ワイナリーの裏手にある畑に向かった。そこは先祖代々受け継がれ、一度も化学的な除草剤を使用していない畑だ。カミーユさんから説明を受けた。
「今年はとにかくベト病が多い。こんなに多いのは初めてです」とのこと。そのため、現在は有機農法で許されている硫黄の散布を続けている。ベト病は葉に発生するカビの一種なので、湿度が厳禁だ。今年はブドウの葉をなるべく落として風通しを良くしているという。「その時の状況に応じてブドウの手入れを変えています」とカミーユさんは話す。
「慣行栽培ならこの畑から100リットルのワインが取れるけど、敢えてその1/3しか採っていません。ブドウを無理させると早く樹が弱ってしまう。樹齢の高いブドウを大切にしたいと思っています。」
「ブドウのつるの先端を切り取っています(摘芯)。そうすることでブドウの内にエネルギーが蓄えられるんです。」「畑の傾斜が急なところは馬を使って耕しています。」
ワイナリーにて
ワイナリーに移動すると、ボジョレーの伝統的な円錐形の木製容器「トロンコニック」がいくつも並び、垂直式プレス機が大小2台設置されている。
「選果はすべて畑で行い、状態の良いブドウを『全房』のままタンクに入れます。
このタンク(トロンコニック)にそれぞれ4トンのブドウを入れます。最初だけ二酸化炭素を注入し、ブドウが自重で自然に潰れて発酵が始まります。
そうすると自然に二酸化炭素が発生し、『セミ・マセラシオン・カルボニック』(細胞内発酵)が起こります。これにより、ボジョレーらしいエレガントな香りとこの土地の味わいを併せ持ったワインが生まれます。」
「初期発酵はタンクごとに異なり、1週間から6週間かかります。」
「その後、垂直式プレス機で優しく搾ります。強い抽出はしません。この搾り機は回転しないので、雑味や苦味が出ません。」
次に地下セラーへ移動すると、多くの小さな樽と大型の樽(フードル)が並んでいる。
「澱を残したまま木樽で発酵させます。澱があることでワインは酸化しにくくなります。」
「樽は2~3年使用した古樽を購入し、それを30年ほど修理しながら使います。最近は樽職人が減ったので、勉強してワイナリー内で修繕を行っています。(修繕はカミーユさんのご主人が担当しています。)」
「その後、樽で6か月から1年熟成させ、最後にフードルに移してワインをなじませます。」
野外の試飲カウンターで試飲
ここは、マルセル・ラピエールが毎日のように夕方から仲間たちとワインを楽しんだ、伝説のカウンターだ。まずは2024年の最新ヴィンテージをずらりと並べて試飲開始!
◆Raisins Gaulois 2024 / レザン・ゴーロワ 2024
モルゴンクリュ内で樹齢20年以内のブドウを使ったキュヴェ。ラピエールの入門編として気軽に楽しめる一本だ。果実味が際立ち、クリアでめっちゃ美味しい!
「2024年は涼しい年で、素晴らしい酸味が引き出され、ボジョレーらしい味わいに仕上がって大満足です!」
◆Le Beaujolais 2024 / ル・ボジョレー 2024
モルゴンの隣、ランシー村にあるラピエール所有の畑から生まれたキュヴェ。2021年、レザン・ゴーロワの瓶詰めが見送られた際に代わりに詰められたワインだ。品質に納得できたため、翌年以降も継続して生産されている。
「樹齢は約40年。涼しい気候のおかげで長いセミ・マセラシオンができました。樽で発酵し、樽熟成はしていません。エキス分が多く、スパイシーなのが特徴です。」
◆Morgon 2024 / モルゴン 2024
マルセル・ラピエールを象徴する、ワイナリーの顔ともいえるキュヴェ。
「花崗岩の土壌の畑で、樹齢40~100年のブドウを使用。4週間のマセラシオンで、柔らかく広がりのある味わいに仕上がりました。」
◆Cuvée Camille Roche du Py Morgon 2024 / キュヴェ・カミーユ・ロッシュ・デュ・ピィ・モルゴン 2024
「長兄のマチュから『好きな区画を選んで、栽培から醸造まで責任を持ってワインを造りなさい』と言われ、作り始めたキュヴェです。モルゴン村は花崗岩の土壌ですが、コート・デュ・ピィの区画は火山岩がシスト化した独特の土壌。この区画のワインが大好きで選びました。」
塩気とストロベリーのような風味が調和した素晴らしいワイン。元々好きなワインだけど、やっぱり最高!
◆Cuvée Marcel Lapierre 2024 / キュヴェ・マルセル・ラピエール 2024
「コート・デュ・ピィの樹齢100年と105年のガメイだけで造りました。父マルセルが1990年、軽いボジョレーばかりが作られる中、力強いボジョレーを目指して始めたキュヴェです。このワインは毎年造るわけではなく、通常の『モルゴン』と明らかに異なる個性がある年だけ単独で瓶詰めします。それ以外の年は『モルゴン』にブレンドされます。」
貴重なバックヴィンテージも登場!
ここでオーナーで長兄のマチュ・ラピエールも加わり、カミーユがワイナリーの奥から貴重なバックヴィンテージのワインを持ってきてくれる。訪問者に惜しみなく振る舞うのが、マルセル時代からのワイナリーのポリシーだという。
その中には、マルセルが亡くなった年の「モルゴン 2010」も!マルセルはブドウの出来を心配していたが、すべての収穫が終わった直後に亡くなったそうだ。
さらに、「モルゴン 2021」の酸化防止剤入りとなしの飲み比べという、なんとも興味深い機会も!
味わいの広がりが全然違う!酸化防止剤なし(サンスフル)は柔らかく大きく広がる味わいで、やっぱり美味しい。
日本にはサンスフルが輸入されるが、冷蔵保存が難しい国には酸化防止剤入りのものが輸出される。マチュ曰く、「食事と合わせるなら酸化防止剤入りの方が緻密で長く楽しめるよ」とのこと。なるほど!
マチュのワイン哲学とワイナリーの温もり
マチュの話はまだ続く。
「2024年は冷涼な年で、ボジョレーらしい味わいが実現した。今までで一番好きなヴィンテージになったよ!」
「良いワインを作るには、選果して良いブドウだけを使うことがとにかく大事。」
「最近は屋外に置いたファイバータンクで長期マセラシオンにも挑戦してるんだ。気温変化が多い環境でいろんなエキスが引き出される。今年は小さなファイバータンクをいくつか購入する予定だよ。」
と、興味深い話が次々と飛び出す。
そんな話を聞いているうちに、時刻は17時を過ぎ、ワイナリーは終業時間に。栽培や事務のスタッフたちが自然と集まり、笑顔でその日開けたワインを飲み始める。カミーユやマチュも楽しそうで、人の和でできたワインなんだなとしみじみ感じる。
























































