【~Les Bottes Rouges / レ・ボット・ルージュ訪問記:2025年7月10日木曜日午前~】
フランス:ジュラ地方、アルボア地区
ボジョレー地区から高速道路に乗り、東へ向けて約1時間半、車を走らせた。
徐々に木々が増え、森の中を進むような道に変わっていく。これまでパリからシャンパーニュ、シャブリ、ブルゴーニュ、ボジョレーを車で巡ってきたが、道中は広々とした麦畑やブドウ畑ばかりだったため、森の風景は新鮮に感じられた。
目的地は、土壌の深みが織りなす個性的なワインで近年注目を集める、スイスとの国境地帯に位置する「ジュラ地方」だ。
【以下は、AIからの「ジュラ地方」の紹介を転載したもの】
<ジュラ地方の概要 >
ジュラ地方は、フランス東部、ジュラ山脈の西側に位置するワイン産地で、スイスとの国境に隣接し、ブルゴーニュ地方の東に広がる。手つかずの自然が残り、独特なワインやチーズ、郷土料理で知られている。
<ジュラ地方の特徴>
◆ワイン:
「ヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)」や「ヴァン・ド・パイユ(藁ワイン)」など、個性的な白ワインが有名。白ワインは生産量の約7割を占める。また、自然派ワインの産地としても注目を集めている。
◆チーズ:
フランスを代表するハードチーズ「コンテ」や、冬限定の「モン・ドール」など、チーズの名産地としても知られる。
◆郷土料理:
「鶏肉のヴァン・ジョーヌ煮込み」など、ワインやチーズを使った料理が特徴。
◆自然:
ジュラ山脈に囲まれた湖、渓流、森など、豊かで手つかずの自然が広がる。
◆地質:
ジュラ山脈は、地質時代の「ジュラ紀」の名前の由来となった場所。
ジュラ地方のブドウ畑やワイナリーが集中する「アルボア(Arbois)」
ジュラ地方のブドウ畑やワイナリーが集中する「アルボア(Arbois)」に到着した。
アルボアは、科学者ルイ・パスツールの出身地として知られ、ジュラ地方の観光の中心地でもある。古い街並みが残り、スイスやイタリアの雰囲気も感じられるが、観光地化されすぎていないのが魅力だ。今回の旅で宿泊した場所の中で、個人的にはここが一番気に入った。
夜の街並みは、まるで名画『ニュー・シネマ・パラダイス』を彷彿とさせる雰囲気だった。泊まったホテルもクラシックな趣があり、とても素敵だった! ただ、宿泊客はお年寄りが多く、朝食の時間にアジア人の私が珍しかったのか、じろじろ見られたのは少し気まずかった(笑)。
翌朝、アルボアから車で10分ほどの隣接する村、Abergement-le-Petitにあるワイナリー「Les Bottes Rouges(レ・ボット・ルージュ)」を訪問した。美しい農村地帯に囲まれた、程よい規模の清潔感あるワイナリーだった。ステファン・ティソと並び、アルボア周辺の現代的なワインシーンを牽引する人気の自然派ワイナリーとして知られている。
ワイナリーについて
【以下は、海外サイトからAIがまとめたワイナリーの詳細です。】
<Les Bottes Rouges(レ・ボット・ルージュ)の概要>
フランスのジュラ地方、アルボワ地域に拠点を置く自然派ワイナリーです。ジャン=バティスト・メニゴズ(Jean-Baptiste Menigoz)とフロリアン・クライネ・スヌフェリンク(Florian Kleine Snuverink)が共同で運営し、有機栽培のブドウを使用したナチュラルワインを生産しています。
<ワイナリーの歴史>
2011年にジャン=バティスト・メニゴズによって設立されました。彼は元々特別支援学校の教師として働きながら、趣味でワイン造りを始めました。2000年に友人で現在のドメーヌ・ラタポワ(Domaine Ratapoil)の醸造家ラファエル・モニエ(Raphaël Monnier)と共同でアルボワに小さなブドウ畑を購入し、ワイン造りをスタート。その後、ジュラの著名な醸造家ステファン・ティソ(Stéphane Tissot)の下で修行を積み、2012年に本格的に「Les Bottes Rouges」プロジェクトを立ち上げました。ワイナリー名の「Les Bottes Rouges」(赤いブーツ)は、フランスのロックバンド「Les Wampas」の曲にインスパイアされており、ジャン=バティストの遊び心が込められています。
2014年には、オランダ出身のフロリアン・クライネ・スヌフェリンクがパートナーとして加わりました。彼女はアムステルダムの自然派ワインレストラン「Café Schiller」のオーナー経験を持ち、ワイン造りを学ぶためにジュラに移住。自身のブドウ畑購入を検討した後、ジャン=バティストと共同でワイナリーを運営することを決めました。 現在、ワイナリーは約7ヘクタールのブドウ畑を管理し、石灰岩、粘土、マール(泥灰土)といった多様なテロワールで栽培を行っています。使用するブドウ品種は、シャルドネ、ピノ・ノワール、プールサール、トルソー、サヴァニャンです。
<ワイン造りの哲学>
Les Bottes Rougesは自然派ワインに特化し、以下の特徴があります: 有機栽培:ブドウ畑は有機認証(AB認証)を取得し、化学肥料や農薬を一切使用しません。
無添加・低介入:添加物を一切使用せず、濾過や清澄も行いません。硫黄(SO2)は瓶詰め時に最大10mg/Lを稀に加える場合があるのみです。
<評価と特徴>
Les Bottes Rougesのワインは、自然派ワインファンの間で高い評価を受けています。特に以下の点が強調されます。
個性とエネルギー:エレガントで、ジュラの自然派ワインの代表格として知られています。
テロワールの表現:石灰岩や粘土質の土壌がもたらすミネラル感と、ジュラ特有のブドウ品種の個性が際立ちます。
カルト的地位:生産量が少なく、希少性が高いため、ヨーロッパやアメリカのワインショップで人気です。
【訪問の背景】
実は今回の旅行では、5日間で10軒のワイナリーを訪問しましたが、Les Bottes Rougesは唯一、当店で扱ったことがなく、私自身もそのワインを飲んだことがないワイナリーでした。そのため、全く予備知識がない状態での訪問となりました。
【ワイナリーの印象】
ワイナリーはコンパクトで清潔感があり、「良いお酒を醸すための工房」という雰囲気。共同経営者のジャン=バティストさんは地元出身で、元々小中学校の教師をしていた経歴を持つ、真面目で論理的、かつ少しシャイな印象。一方、フロリアンさんはエネルギッシュで気さく、親しみやすい性格で、対照的な二人がバランスよく運営していると感じました。
見学にはフランスの問屋さん2名と、マレーシアからの一般のファン5名が参加。一般向けにも門戸を開いているワイナリーの姿勢が伺えました。
【醸造所見学】
最初に案内されたのは、左側にある醸造エリア。さまざまなタンクが並ぶ中、目を引いたのは宇宙船のようなダイヤモンド型の「コンクリートタンク」。ジャン=バティストさんによると、コンクリートタンクはステンレスよりも熱伝導性が低く、温度変化の影響を受けにくい特徴があります。また、微量の空気を通すため、澱がタンク内で動き、よりナチュラルな発酵が促されるとのこと。さらに、伝統的な素材であるコンクリートは、自然派ワインの精神にも合致しています。
【ジャン=バティストさんの説明 】
・ワイナリーは当初、2haのシャルドネとピノ・ノワールの畑からスタート。その後、7.5haのサヴァニャン畑を取得し、一部をトルソーに植え替えました。
・栽培や醸造の大型機材は、同規模の10のワイナリーと共同所有し、効率化を図っています。
・サヴァニャンは重い石灰岩土壌に適しています。
・2024年はベト病により赤ワインの収穫量が非常に少なかったそうです。
・新樽は一切使用しません。
セラー貯蔵庫での試飲
次に、右側の地下にあるセラー貯蔵庫に移動し、樽熟成中のワインを試飲しながら説明を受けました。
◆Leon(レオン)2024(シャルドネ100%)
(AIのまとめ 熟した洋梨、カモミール、黄色いリンゴ、ミネラル、塩気のある風味が特徴。シャルドネ愛好家に高く評価されています。)
酸味が効いた瑞々しい仕上がりで、非常に印象的でした。
◆サヴァニャン100%(2021年植樹の畑)
アロマティックで特徴的な味わい。優しい酸とトロッとした口当たりで、とても美味しいワインでした。
◆Face B(ファス・ベー)2023(サヴァニャン)
塩気があり、生き生きとしたクリスピーな味わい。エネルギッシュで、しっかりとした酸と柔らかな旨味が調和した素晴らしいワイン。
◆Leon(レオン)2022(シャルドネ100%)
トロッとした深みのある「りんご」のような味わい。ジャン=バティストさんによると、「長期熟成によりヴィンテージの個性が徐々に薄れ、粘土や泥土のテロワール感がより強く現れる」とのこと。
◆サヴァニャン2022(コンクリートタンク熟成)
2018年からこの製法を採用。フレッシュ感を保ちつつ、熟成感が現れ始めている。リアス期土壌由来のミネラル感が特徴。
◆サヴァニャン2022(甘口・完全発酵)
アルボワの石灰岩質土壌由来の厚みのある味わいながら、丸みのある仕上がり。
◆サヴァニャン2018
ジャン=バティストさんの説明:「4年間発酵させ、さらに木樽で7年間熟成。暑い年でアルコール度数は14度だったが、貯蔵中の蒸発を補う補酒(ウィヤージュ)により現在は17度。揮発酸は1.0。ジュラのワイン造りは時間がかかる。ブドウの樹を植えて3年で収穫でき、ヴァン・ジョーヌのような産膜酵母を使ったワインには5年かかる。今から始めると私は70歳くらいになる(笑)。ボジョレーヌーボーでも作りたいよ!」
香りは産膜酵母由来のナッツやスパイスのニュアンスが強く、飲むとまろやかでバランスが良く、非常に美味しいワインでした。
【ジャン=バティストさんのワイン造りへのこだわり】
<ブレンドの重要性>
白ワインはタンク発酵、木樽発酵、コンクリート発酵のものをブレンドし、バランスを調整。コンクリート発酵のものは酸が際立ち、より自然なジュースのような仕上がりになる。
◆熟成の重視:
瓶貯蔵や樽貯蔵による長期熟成がジュラの特徴。ブレンドでの味わいの調整も非常に大切にしている。
◆澱との接触:
澱はワインと常に接触させ、澱引きは瓶詰め前夜に行う。タイミングは6カ月~12カ月もかけて慎重に選ぶ。
◆気候への対応:
2023年は暑い年だったが、サヴァニャンは熟度が高くても酸がしっかり残り、温暖化にも対応できると確信したとのこと。
テラスで机に座り、奥からさまざまな瓶詰めされたワインを出してもらい、さらに試飲が続きました。
以下は試飲したワインの詳細と、ジャン・バティストさんの説明を交えた記録です。
1. Tôt ou Tard(ト・ウ・タール)23品種:プールサール(Ploussard)主体
<AIの説明>
軽やかさと複雑さのバランスが絶妙で、野生的なニュアンスが魅力。赤い果実や土っぽい香りが特徴。
<ジャン・バティストさんの説明>
「アルコール度数11度。100%除梗し、2週間のマセラシオン。瓶詰め時に少量のSO2を添加しました。近年、温暖化の影響で乳酸菌が増殖しやすく、揮発酸が発生するようになりました。実は2019年ヴィンテージでは、瓶詰め後に乳酸菌が過剰に増殖してしまい、泣く泣く全量を蒸留酒にしました。この経験から、ワインの状態を顕微鏡で注意深く観察し、乳酸菌の繁殖をチェックしています。」
2. Gibus(ジビュス)23品種:トルソー100%
<AIの説明>
クランベリー、プルーン、スターアニスやローズマリーのようなスパイシーな風味。濃厚で土っぽい赤ワイン。
<ジャン・バティストさんの説明>
「デリケートなワインです。糖度が高すぎるとブレッド(豆のような風味)が出るため、過熟を避けるために早摘みしています。ジュラの赤ワイン造りはまさに『綱渡り』で、繊細さが求められます。酸、飲みやすさ、熟度のバランスを取るのが非常に難しいです。実は白ワインは元々酸がしっかりしたブドウが収穫できるので、赤に比べると造りやすいんです。赤ワインは樽を使用せず、タンニンはすべてブドウ由来です。」
3. アッサンブラージュ キュヴェ Boome-rang 2023 品種:トルソー50%、 プールサール50%
特徴:
プールサールの柔らかさとトルソーの鋭さが絶妙に調和したワイン。
4. La Pépée(ラ・ペペ)23品種:ピノ・ノワール100%
<AIの説明>
軽快で飲みやすいスタイルで、ファンに人気。
<ジャン・バティストさんの説明>
「リアス期(三畳紀)の粘土土壌で栽培。ジュラは地殻変動により古い土壌が露出しているのが特徴です。今飲んでも美味しいですが、さらに過熟させて酸を落ち着かせるともっと良くなります。全房発酵75%、粒発酵25%の割合です。」
5. Neo 24品種:ピノ・ノワール
<ジャン・バティストさんの説明>
「全房発酵100%で、わずか20日間のマセラシオン。そのうち4日間はパンチマセラシオン(マセラシオン中に果皮を沈めて強く抽出)を行いました。」
プールサールのような優しい酸と柔らかい味わいがあり、La Pépéeとはかなり異なる印象。
6.No Milk Toda
<AIの説明>
ユニークな名前のキュヴェで、フレッシュで遊び心のある味わい。
特徴:
伝統的な補酒(ウィヤージュ)をしっかり行い、スキンコンタクト10日間。
7. Pollocks コート・ド・ジュラ品種:シャルドネ
<ジャン・バティストさんの説明>
「早めにリリースするワインで、瓶詰め後2年熟成し、今年の秋にリリース予定。全房発酵です。」
8. Léon(レオン)24品種:シャルドネ(アルボアとコート・ド・ジュラ産)
<ジャン・バティストさんの説明>
「セラーで試飲したものを早期瓶詰め。コンクリートタンク発酵で『飲みやすさ』を、木樽発酵で『厚み』を出し、両者をブレンド。18ヶ月樽熟成後、1年間瓶貯蔵して出荷します。」
9. Face B品種:サヴァニャン(灰色粘土質土壌)
<ジャン・バティストさんの説明>
「Léonと同じ製法ですが、サヴァニャンを使用。」
非常に美味しく、シャルドネのLéonも良い熟成感がありますが、サヴァニャンはさらに驚くべき熟成の旨味がありました!
10. ヴァン・ジョーヌ 2022
特徴:
少量生産のため自家消費専用。2022年8月瓶詰め。
製法:
補酒(ウィヤージュ)なしで5年以上熟成。
ナッツやスパイシーな風味があり、素晴らしい仕上がり!





















































