【~ドメーヌ・Pattes Loup/パット・ルー訪問記:2025年7月7日月曜日午後~】
フランス:シャブリ
バイパスを走っていると、麦畑に囲まれた景色が「Chablis」の看板を境に一変し、辺りは一面のブドウ畑に変わった。小さな街「シャブリ」の中心部にはドメーヌが林立し、まさにワイン造りが主要産業といった雰囲気だ。あちらこちらにドメーヌの看板が立ち並んでいる。ドメーヌ・パット・ルー(「狼の足音」という意味)は、中心部からさらに車で10分ほど走った場所にある。
ドメーヌの規模は、シャブリの中では小さい方かもしれない。建物に入ると、清潔感のある試飲ルームがあり、奥にはコンクリートタンクやステンレスタンクが整然と並ぶ、衛生的に整頓された仕込み場が見える。さらに、地下に降りると、小型の樽から楕円形の大型樽「フードル」まで、さまざまなサイズの樽がずらりと並んでいた。
シャブリでは珍しい有機栽培
このドメーヌを率いるのはトーマス・ピコさん。彼は父親からドメーヌを受け継ぎ、シャブリでは珍しい有機栽培を始めた。現在、22ヘクタールのブドウ畑をすべて有機栽培で管理し、数々のビオ認証を取得している。堆肥もすべて自らの手で作り、土壌づくりにこだわる。有機栽培と醸造方法に切り替えたことで収穫量は大幅に減ったが、品種の個性を重視する姿勢を貫いている。
収穫はすべて手摘みで行い、ブドウを丁寧に選別。房も茎もついたままプレスしてジュースにし、重力で自然にオリ引きを行う。キュベによって発酵や貯蔵の容器を使い分け、瓶詰め直前までオリと接触させることで、味わいを最後まで進化させている。
試飲
試飲では、まず2022年のシャブリを味わった。香り、甘み、酸味のバランスが絶妙で、パットルーらしい塩気も感じられる、まさに彼のワインを象徴する逸品だ。このワインは80%がタンク発酵・貯蔵、20%が樽発酵でブレンドされている。
一方、2021年のシャブリは難しい年だったそうで、逆に80%が樽発酵、20%がタンク発酵・貯蔵のブレンドだ。醸造には苦労したそうだが、出来上がったワインはパイナップル系の風味が伸びやかに広がり、2020年とは異なる輝きを見せる素晴らしい仕上がりだった。
さらに、上級キュベのプルミエ・クリュ2種類も試飲した。2年間の木樽発酵・貯蔵と2年間のタンク貯蔵を経てブレンドされ、2020年ヴィンテージから出荷されている。深いボディ感、甘み、酸味が調和し、ワンランク上の味わい。納得の旨さ!
さらに、面白いワインも試飲した。4人の仲間と共同で造る「イランシー」の赤は、ピノ・ノワールの派生品種「ピノファン」を使用した、より小粒なブドウで造られている。味わいは綺麗でミディアムボディ、酸がキュッと効いて、一口飲むと「美味い!」と唸る素晴らしい出来栄え。良いワインを造る人は何を造っても素晴らしいと実感した!
畑訪問
次に、プルミエ・クリュの畑を見学した。日当たりが良く、風通しの良い斜面に広がるこの畑は、まさに「シャブリ」を象徴するキンメリジャン土壌(小さな貝殻の化石を含む石灰質と柔らかい土壌で、1億5千万年前の白亜紀前期の地層)に恵まれている。今年は今のところ大きな被害もなく、ブドウも豊かに実っており、トーマス・ピコさんは「このまま順調にいってほしい」と切に願っていた。
次に丘の上の畑に移動すると、そこは360度見渡す限りシャブリのブドウ畑が広がっていた。人気の産地だけあって、畑はほぼ隙間なく栽培されている。
ピコさんの畑は、草花がブドウと共存し、他の畑とは明らかに異なる雰囲気を放っている。彼は土壌の多様性を高めるため「森化」プロジェクトを進めており、畑のあちこちに木々を植え、多種多様な樹木による生垣も設けている。これにより、鳥を呼び込んで自然な害虫駆除を行い、温暖化対策として日陰を作り、さらに多様な微生物を取り入れることで、ワインに独自の個性を反映させたいと考えている。
まだまだ結果が出るのはそのプロジェクトの今後を見たい!彼のワインがどう進化するか、切にそう思わせた。
























































